御供養

 令和六年度の最終月、三月に入りました。暮れから今年は、北から南まで日本海沿岸の地方が曾てない程の豪雪に見舞われています。

ここ数年、地震が各所に起き、気象の不順と共に大変な日常であります。雪国の方々の御苦労をお察し致し、お見舞い申し上げますと共に、春の訪れの早さを祈っております。

 三月は御先祖様を御供養申し上げる「春の御彼岸供養会」に於てお祈り申し上げます。御自身の身内の近い方は良く知り、会話も重ねられると思いますが、そこから先、奥に行きますとお目にかかる事はほぼ出来ませんが、自分が生きていると云う事は、何百年も歴史が続き、血筋は紛れもなく自分に伝わっていると云う事であります。

いつも私の読経と共に御供養の手を合される方は、御自宅の朝にもきちんと祈りを為され、私は尊敬を込めて本来の生き方と喜んでおります。

 昨年、私ともう四十年もお付き合いの会員の方に素晴らしい事がありました。思いがけず、御先祖様との心の触れ合いがあり、曾て会った事も聞いた事もなかった「林顕三郎」と云う方の人生が解ったのです。彼はそれを大切に考え、熱心に辿って様々の物の本等を調べて確信に届きました。それは正に御先祖様の御供養そのものであります。誠に御先祖様と現在の彼との繋がりは、彼の生き方そのままの証と云えるでしょう。様々の物の本等に書かれた御先祖の方は真摯な仕事を成され、性格は温情に満ち、礼を欠かさない方だった様です。その人柄は現在の彼の生き方に良く似通った所があり、血筋と云う文字をしっかり実感致した次第であります。

 私は仕事柄や自分の体質からして、「永年壇上供養」を御依頼戴いた方の御先祖様を読経の内に拝見する事があります。血統はずっと続き、これから後も続いて行きます。安穏に繁栄なさる様、心から祈り上げます。私が学生時代、青山墓地で遭遇した憑依を突然現れて救ってくれた御先祖は、以来私の守護霊として私を支えてくれていますが、明らかに子孫を護って下さる方であります。子孫はそれに応えて親しく、また謹んで手を合わせましょう。

 人間にとって大切な事は、卑しくない生き方をする事です。品格云々などとは申しませんが、育った環境や因縁も含め、然程強くない人間は楽な方に傾き易く、礼を失したりしても苦にしなかったりする事が折々あるかもしれません。これを教えて行くのは、勿論親であり大人であり、教師であります。根性の卑しい人は顔に表れ、使う言葉に明らかに表れます。心卑しくない人生を、自分の知性で作って行きましょう。信頼出来る人間になりたいものであります。